祖父の代から続く土地を所有していました。
その土地は私が住んでいる所ではなく、父親方の本家がある地方にありました。
現地は周辺は住宅などは全くなく、基本的に空き地です。
海に近いために、たまに地元の小さな水産加工会社が加工場などを設けています。
その土地を父親から相続を受け、長年所有しておりました。
けれども私が生まれ育ったのは関東であり、本家やその土地がある地域には生活基盤は全くありません。
一方でその土地を所有している限り税金もかかりますし、また草刈り等の維持費も負担しなければなりません。
今後もその土地を所有し続けるメリットはないと判断して売却をする事にしました。
けれども売却すると言っても簡単に出来ません。
なにしろ、その土地は周りにはほぼ何もない、言い換えれば需要がほぼ見込めない土地なのですから。
私はその土地の近くで水産加工会社を営んでいる会社に試しに声をかけてみました。
するとその社長からは買っても良いが、あまり良い値段は出せないと言われてしまったのです。
確かにその土地の周辺は道路も整備されておらず、買主としてはあまり良い値段を付けられないのは当たり前の事です。
そして、その会社の社長から提示された金額はあまりにもやすいため、私はとても売る事に合意出来ませんでした。
結局自分では良い売主を見つける事が出来ず、私は不動産業者に依頼をして売却をすることにしたのです。
けれどもその土地がある地域には頼れる不動産業者はいません。
ですので、私はその土地から車で2時間ほど離れた、その地方での主要都市にあたる地域で営業をしている不動産業者に売却を依頼しました。
ある程度大きな不動産会社でしたので、買主を見つけられる情報力は十分にあると思ったのです。
けれども、私の目論見は完全に外れました。その不動産会社が持ってくる見込み客の情報は既に私が自分で声をかけていた水産加工会社ばかりだったのです。
その他の見込み客はないのか?と不動産会社に聞きましたが、あまりにも売却予定の土地が過疎地にあるため、いくらその不動産会社のネットワークをもってしても見込み客を探すには限界があるという回答が返ってきました。
それからもしばらくの間、私はその不動産会社に売却を依頼しつづけましたが、結局はそれ以上の情報は持ってきてくれず、私はその不動産業者との売買仲介の依頼をお断りしました。
最終的に私は当初、あまりにも安い金額を提示してきた水産加工会社の社長に売却することを決断したのです。
正直、その金額はあまりにも低く、こんな低い金額で売るのはご先祖に申し訳ないとも思いましたが、一方で私にも毎日の生活があり私にとって何も価値を生み出してくれない土地を所有し続けることは家計的に無理だったのです。
私はそれまでいくつか所有していた不動産を不動産会社を通して売却した事があります。
そのたびに不動産会社の持っている情報量や、ネットワークは凄いものだなと思っていました。
けれどもその不動産会社の力もある程度の都市部でないと有効には働かないものだと私はこの経験から学びました。


